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確定拠出年金の規制の行方

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確定拠出年金の規制の行方
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個人型確定拠出年金(以下iDeCo)の加入者対象が2016年の確定拠出年金(DC)法改正(以下、DC法改正)により拡大され、加入者はすでに100万人を突破しました。

老後の生活資金準備の方策として、認知度も徐々に広がりつつあります。

一方、同時に法改正により創出された制度では、期待されていた役割を十分に果たしていないようにも見受けられます。

こうした状況の中、厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会が2019年2月より開催されて、今後の制度変更が本格的に議論され始めました。

本記事の執筆者について

大手アセットマネジメント会社に入社後、株式投資信託のファンドマネージャーとして5000億円超の資産を15年に渡り運用。
グローススタイルファンド、小型株ファンドの運用で抜群のパフォーマンスを得る。その後、国内最大級の企業年金基金において、年金資産運用を統括。/ FP横浜オフィス加藤

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期待されていた役割とは

2016年のDC法改正は、長らく企業年金の中核を担ってきた適格退職年金・厚生年金基金から、確定拠出年金・確定給付企業年金に移行する流れに乗り遅れた中小企業向けに、企業年金制度の普及・拡大に目を向けられておりました。

そこで、従業員100人以下の中小企業に限り、「簡易型確定拠出年金制度」と「中小事業主掛金納付制度」の2つの制度を創設し、企業年金制度の導入を後押ししました。

「簡易型確定拠出年金制度」とは、中小企業がDC制度を導入するにあたっての負担を軽減することによって、普及を目指したものです。

具体的な軽減措置とは

  • 掛金額は定額
  • 提供商品数は2本以上
  • 加入者掛金の額は選択肢が1つでも可能
  • 添付書類等の簡素化

などです。

負担軽減のほかには、すべての厚生年金被保険者を加入者とするといった資格要件を絞ることができないといった不具合が含まれています。

この「簡易型DC制度」はほとんど利用されることがなく、制度を創設しただけになってしまっています。

そうなっている理由として考えられるのは、「簡易型DC制度」にはビジネスの観点が欠けていたということでしょう。

制度を導入する側の中小企業にばかり気を配っていて、肝心の制度を提供する運営管理機関にビジネスチャンスがあるかといった観点がまったくなかったからだと思われます。

運営管理機関である金融機関等も利潤を追求する株式会社であり、収益をあげることのできない制度を提供することはまずありえません。

「簡易型DC制度」はこのまま形骸化することが予想されます。

もう一つの新しい制度である、「中小事業主掛金納付制度」とは、企業年金を実施していない従業員100人以下の事業主が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができるよう、iDeCoに加入している従業員の掛金に追加的に拠出するものです。

事業主が掛金を拠出するためには、労働組合等の同意が必要となります。

一部の運営管理機関が促進していることもあって、徐々にではありますが実施事業主数と対象者数も増えております。

しかしながら、対象者数も5,000人を超えただけでiDeCo全体の加入者数に対して0.5%にも至っておりません。

考えられる理由としては「中小事業主掛金納付制度」はiDeCoに加入している従業員のみにしかメリットがなく、平等性に欠ける制度であることと思われます。

「中小事業主掛金納付制度」はこのまま一部の運営管理機関が促進する状態が続くことが予想されます。

このように、中小企業に企業年金制度を普及させるために創設した2つの制度はほとんど利用されることなく、中小企業向けの企業年金制度は普及するどころか、厚生年金基金の解散ラッシュとともに縮小してしまいました。

欠陥があることを顧みずに、せっかく創設した制度だからと、従業員100人以下の中小企業というのを300人以下に拡大しようと厚生労働省では考えているようです。

民間のDC関係団体からは、新しい制度に頼らずに既存のDC制度をより使いやすくさせ、国民の老後の所得確保の一層の充実を図るためのさまざまな要望が出ております。

この要望の中には、もっと本質的にDCを普及させることにつながることもあるので、今後の規制の行方として注目される点とその評価をご紹介します。

規制の行方

①:加入可能年齢の引き上げ

働き方改革の影響もあってか、60歳を超えても働き続ける人が増えていることや、人生100年時代等の昨今叫ばれている現状を考慮し、掛金を拠出できる年齢を引き上げる要望が関係団体から多く出ております。

老後の支えとなる厚生年金は段階的に65歳まで受給開始年齢が引き上げられています。

その一方、働く60歳代が増えていて、60~64歳の就業率は70%に迫っています。

確定拠出年金で手厚い税制優遇があるのは、働いて得る賃金から掛金を出すというのが前提です。

つまり70歳まで就業機会を確保するよう企業に求めている現状では、DCも足並みをそろえ企業型は厚生年金と同じく70歳まで、iDeCoは65歳まで引き上げられる案になると思われます。

今後、国民年金や厚生年金の加入年齢の引き上げも検討されていることから、特に異論もなく実現するものと考えられます。

②:企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、現行は労使合意に基づく規約の定めがあって事業主掛金の上限を引き下げた企業に限られています。

これを規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに加入できるように改善をする議論も出ております。

現行は、限度額管理(DC全体で月額5.5万円以内)の事務処理を簡便に行うため、規約で事業主掛金の上限を月額3.5万円以内に引き下げた企業においてのみ、企業型DC加入者がiDeCo(月額2万円以内)に加入可能となっています。

事業主掛金の上限を引き下げない限り、当該企業型DCの加入者全員がiDeCoに加入できません。

多くの企業は昇格・昇給に伴って事業主掛金を増やすタイプの設計を採用しているため、事業主掛金が3.5万円を超えている従業員が一部いること等により、事業主掛金の上限の引き下げは事実上困難な状況にあります。

すなわち、事業主掛金の引き下げがなくてもiDeCoに加入できるようにするためには、誰かが掛金の限度額管理を行わなければならないということですが、大きなシステム構築の負担があるためその誰かが大きな障害となっていました。

しかし、11月の会合時にiDeCoの事務管理をしている国民年金基金連合会がシステム構築のための借り入れを行い、企業型記録関連運営管理機関の加入者向けのHPにおいて、iDeCoの拠出可能額を表示する方向で調整中であることがわかりました。

これは大きな進歩であり実現されれば、規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、全体の限度額から事業主掛金を控除した残余の範囲内で、国民年金加入者であれば誰でもiDeCoに加入できることになります。

③:掛金の拠出限度額の引き上げ

現在、企業型DCでは加入者区分によって、月額14,000円から55,000円までとされている掛金の上限額を、引き上げる要望も出ております。

こちらは、2016年のDC法改正の時から取り残された案件であることから、複数の関係団体から要望されているものです。

金融審議会の幻の報告書である2,000万円不足問題に対応するために、上限そのものをなくして欲しいという要望もあり、大幅な引き上げを期待してしまいがちです。

しかしながら、掛金上限引き上げには加入者の所得税と住民税の節税効果がある反面、税収の減少につながるために厚生労働省だけでは決定できません。

そのため、引き上げがあったとしても数千円程度にしかならないと考えられます。

④:iDeCoの加入手続きの簡素化

現在、iDeCoに加入するためには、まず運営管理機関となる一つの金融機関に、口座開設資料を請求することから始めます。

金融機関によっては窓口で対面による口座申込みのできる場合もありますし、インターネットでの口座開設申込みが完了できる場合もあります。

相談しながら申し込みをしたいという方は、ネット証券はコールセンターなどで相談できることもありますが、直接対面して相談できる窓口はありません。

一方、銀行や大手証券では対面で相談しながら商品選びもできる店舗もあります。

iDeCo開設資料が届いたら、どなたも以下の必要事項を申込書に記入となります。

  • 基礎年金番号
  • 掛金額(毎月払い、年払い)
  • 掛金配分指図
  • 掛金引落し金融機関情報

これらは大した手間ではありませんが、実は第2号被保険者である会社員や公務員は大変手間のかかることがあります。

それは、申込書の「事業主の証明書」欄に職場から印鑑と「事業主登録番号」を記入してもらうことです。

iDeCo制度全般の事務をしている国民年金基金連合会からすべての事業主に、従業員がiDeCoの加入を希望してきた際の事務手続き等について連絡してますが、未だ理解不足の事業主もあります。

「事業主登録番号」を取得していない職場もまだまだたくさんあります。

事前の連絡なしに人事部署等に「事業主の証明書」欄の記載と捺印をお願いしに行っても、突き返されることも考えられます。

iDeCoが浸透してきているので、このような極端なケースは少なくなっているようですが、この「事業主の証明書」の提出が大きな障壁になっていることも事実です。

iDeCoの普及のためにはこの「事業主の証明書」の項目を廃止し、インターネットのWEBサイトだけで加入手続きが完了できるようになることが大事なことです。

⑤:脱退一時金制度の緩和

DC制度は単なる貯蓄とは異なり老後の所得確保を図るという制度趣旨の下、中途引き出しは原則認められていません。

しかし、制度に加入できず年金資産を積み増すことができない場合であって、通算の掛金拠出期間が短いこと又は資産額が少額であること等の要件を満たす場合に限って、中途引き出しが例外的に認められています。

原則認められていないがゆえ、在留外国人が出国した場合にはDCが60歳まで原則受け取りできなくなっており、とても厳しい制約となっています。

近年、外国人労働者が増えていますが、帰国する際、現行法の範囲で脱退一時金を受け取れない場合は、60歳まで日本国内に資産を留め置くことになります。

支給要件を満たした将来に帰国した外国人と連絡がつかない場合、受け取り機会を逸することになります。

これを理由としてDCの加入を嫌がる在留外国人が増えてきていることから、在留外国人が帰国する際の特例として脱退一時金の受け取りを認めて欲しい旨の要望が出ております。

厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、出国した場合には脱退一時金の制度があることと比較しても当然の要望であるために、不条理な制度は緩和されるものと思われます。

まとめ

以上、今後の確定拠出年金法の規制緩和の方向は、誰でもiDeCoに加入できるようにして、加入可能年齢も引き上げられることを中心に議論されることと思われます。

この2点の他にも、さまざまな規制緩和も期待できます。

これらの規制緩和によって、すでに加入されている企業型DCやiDeCoの運用の方法について、今一度見つめ直す機会にされることが望まれます。

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